就職活動を控えている高校生や、採用に携わる企業の方にとって、「応募用紙」は大切な第一歩。その応募用紙が、2025年に大きく見直されたことをご存じですか?
例えば――
「性別を書く欄がなくなった」と聞いたら、ちょっと驚く方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、これはただの変更ではありません。背景には、「もっと公平に」「もっと安心して就職活動ができるように」という強い想いが込められているのです。
この記事では、その改定内容や背景について、具体的な事例を交えながら、わかりやすく丁寧にご紹介していきます。

なぜ見直しが行われたのか?――背景と目的
これまで使われてきた全国高校統一応募用紙には、性別や身体の状態、趣味など、選考に直接関係のない情報が含まれていました。
一見すると些細に思えるこれらの情報ですが、選考において無意識のうちに偏った判断を招いてしまう可能性があるのです。
例えば、性別によって「この職種には向いていないかも…」と思われてしまったり、身体的な特徴で「業務に支障が出るのでは?」と誤解されたり。こうした先入観や固定観念を取り除き、本当に大切な「人の中身」で判断される選考を目指す。――これが見直しの大きな目的です。

具体的にどこが変わったの?――2025年の主な改定点
◆ 性別欄の削除
「男性だから有利」「女性だから不利」――そんなことはあってはならない。
そうした思いから、応募用紙から性別欄が完全に削除されました。これにより、性別にとらわれることなく、すべての人がフラットなスタートラインに立つことができます。
◆ 学歴・職歴欄の再編
従来はひとまとめになっていた「学歴・職歴欄」。今回の改定では、
- 「在籍校欄」:現在の高校名などを記入する欄
- 「職歴欄」:アルバイトや実習などの経験を記載する欄
このように分けることで、記入のしやすさが向上。採用側も、応募者の情報をより正確に読み取れるようになりました。
◆ 趣味・特技欄の廃止 → 志望動機・自己PRへ
今までは「趣味」や「特技」といった項目がありましたが、それらは削除されました。代わりに登場したのが、
- 「志望の動機・アピールポイント欄」
「なぜこの会社を選んだのか?」「自分にはどんな強みがあるのか?」を自分の言葉でしっかり伝える欄です。より内容の濃い自己表現が求められるようになりました。
◆ 身体状況欄の削除
視力や身体の状態を書く欄もなくなりました。これは、障がいの有無にかかわらず、誰もが平等にチャンスを得られるようにするための変更です。
いつから使われるの?適用時期にご注意!
この新しい応募用紙の様式は、2026年3月に卒業予定の高校生から適用されます。
つまり、2025年度に高校3年生になる生徒さんたちが、最初に新様式を使って就職活動に臨むことになります。
早めに新しいフォーマットに慣れておくことが、安心につながりますね。
今後どうなる?――企業と行政の取り組み
厚生労働省と文部科学省は、引き続き応募書類の見直しや改善を進める方針です。
また、企業に対しても新しい応募用紙の使用を徹底するよう指導が行われる予定で、今後ますます“能力重視”の採用が一般化していくと考えられます。

すべての高校生が、自分らしく未来を選べるように
応募用紙の変化は、「ただの書類の変更」にとどまりません。
それは、社会全体が「公平」と「多様性」を大切にする方向へ動いている証拠です。
これから就職を目指す高校生の皆さんには、自分らしい言葉で、自分の魅力を伝えてほしいと思います。
そして、採用する側の企業の皆さんには、そうした声にきちんと耳を傾け、公正な選考を実施していただけたらと願っています。
新しい一歩を踏み出す人たちにとって、この応募用紙が、「希望の入り口」になるように。
