高校生5,645人が回答した「進路・就職観」のリアル
2024年に実施された進路調査では、岐阜県内の高校生5,645名から有効な回答が集まりました。回答者の内訳は、1年生が10.8%、2年生が36.9%、3年生が52%と、主に進路選択が差し迫る上級生が中心となっています。また、男女比はほぼ半々となっており、バランスのとれたデータとなっています。
**進路希望については、進学希望が60%、就職希望が28.3%、進学と就職の両方を検討している生徒が10.4%**という結果となりました。高校卒業後すぐに就職を希望する生徒も一定数存在しており、従来の「進学一択」という流れに変化が見られます。
進学先としては、四年制大学(42.7%)や専門学校(32.8%)を希望する生徒が多く、短期大学(8.1%)や未定(16.4%)も含めると、進学先の多様化が浮き彫りになっています。これは将来の職業選択に対する柔軟な考え方が、若年層の中に広がっている証とも言えるでしょう。
地元就職 vs 進学──高校生が抱く将来の選択肢とは
高校卒業後の「県内就職」「県外就職」「未定」についても明確な傾向が見られました。卒業後すぐに就職する生徒のうち、46.8%が県内就職を希望しており、これは県外志向(10.1%)の約4.6倍にあたります。しかし、進学後の就職においては、県内就職希望が22.8%と下がり、県外就職希望が26.4%に増加しています。特に「未定」とする回答が進学者に多く、若者の地元定着には不確定要素が大きいことが分かります。
この結果からは、高校卒業時点では地元志向が強いものの、進学を経ることで価値観やキャリア志向が多様化し、地元離れが進行している可能性が示唆されます。これは企業や自治体が今後の採用・定住戦略を考える上で、非常に重要な視点です。

COURSE事務局の取り組みと成果──EXPOイベントで生まれた企業との接点
COURSE事務局は、2024年も岐阜県内で積極的に地域密着型のキャリア支援活動を行いました。その中核を担ったのが、各地の高等学校で実施された「COURSE EXPO」です。このイベントは、地元企業がブースを構え、生徒が職業体験を通じてリアルな業務内容や働き方を理解できる場となっており、高校1年生から3年生まで幅広い層の生徒が参加しています。
2024年には、大垣商業高等学校や岐阜聖徳学園高等学校、瑞浪高等学校など、複数の学校で開催され、企業との直接対話や職業体験を通じた学びが多くの生徒に提供されました。こうした活動は、単なる進路情報提供にとどまらず、生徒が主体的に企業と関わりを持ち、将来像を描く契機となっています。
企業研究や職場体験の機会提供、教員・生徒・企業からの反響
イベント後に実施されたアンケートでは、多くの生徒が「知らなかった職種を知ることができた」「企業の実態を間近に感じられてよかった」と回答しており、自らの進路に対する視野が広がったことが伺えます。また、先生方からも「1年生にとって貴重な体験の場だった」「企業との距離が近く、生徒の理解が深まった」との声が多く寄せられました。
さらに、参加した企業側からも「高校生と直接対話できる貴重な機会だった」「女性の関心や意欲を実感できた」といった好意的な感想が寄せられており、三者(生徒・学校・企業)すべてにとって有意義な交流の場となったことが分かります。
このように、COURSE事務局が主催するEXPOは、企業と高校生の間にリアルな接点を創出し、ミスマッチのない就職活動を促進する重要な機会として、年々その存在感を高めています
調査結果から見えた課題と今後の展望
COURSE事務局が行った進路調査の結果から、高校生の将来設計における「情報の質」と「接点の量」が大きな影響を及ぼしていることが明らかになりました。進路選択の際に重視される情報源として、「ホームページ」「家族や先生への相談」「進路資料」などが上位に挙がっており、SNSの影響も一定の存在感を見せています。
特に、InstagramやLINE、TikTokなどのSNSを通じて企業情報を得ている生徒が増えている一方で、求人票だけでは判断が難しいという声も多く寄せられました。このような背景から、企業側には「見える情報発信」と「若者の感性に合った伝え方」が求められています。
また、企業選びの際に重視される項目としては、給与・手当、仕事内容、休日・休暇、職場の雰囲気、働きやすさなどが上位にランクインしています。従来の「安定志向」から、より個人の働きがい・ライフスタイルとの整合性を重視する傾向へと移行していることが読み取れます。

若者の地元離れと向き合う、COURSEの次なるアクション
一方で、調査では「進学後は県外で就職したい」と回答する割合が県内就職を上回っていることも明らかになりました。進学をきっかけに地元を離れ、そのまま戻らないケースが増えている点は、岐阜県が直面する大きな課題です。
COURSE事務局では、こうした課題に対して、今後も「企業と高校生が出会う機会の創出」と「見える化された企業情報の提供」をさらに推進していく方針です。また、学校関係者や地域企業と連携しながら、情報の精度向上や職業体験の充実にも取り組んでいく予定です。
若年層の地元定着を目指す上で、単なる進路支援ではなく“地域とつながるキャリア形成支援”への進化が今、求められています。
高校生の声が示す、地域と企業の未来をつなぐヒント
2024年のCOURSE事務局の取り組みは、岐阜県内の高校生と地元企業の関係を深めるうえで、極めて重要な意味を持つものでした。進路調査を通して明らかになったのは、高校生が真剣に将来を考え、自分に合った働き方や職場環境を求めているという姿勢です。
一方で、進学を機に県外へ進む生徒が多く、地元に戻らない傾向も依然として見られます。これを地域の課題として受け止め、企業や学校、行政が一体となって「情報提供の質と量」を高めていくことが求められます。
COURSE事務局が行っているようなイベントやアンケート活動は、まさにその架け橋となるものであり、今後も継続的な取り組みが期待されます。岐阜県に住む高校生が、地元で安心して働き、暮らしていける未来を実現するために、私たち一人ひとりの関心と行動が大切です。


Q&A
- COURSE事務局とはどのような組織ですか?
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COURSE事務局は、株式会社TAKUMI-BASEが運営する高校生向けの就職支援サービスです。主に岐阜県を中心に、冊子発行やイベントなどを通じて高校生と地元企業をつなぐ取り組みを行っています。
- 2024年の進路調査はどのように実施されたのですか?
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岐阜県内の高校38校を対象に、2024年4月〜7月にかけて実施されました。合計5,645名の高校生から有効回答を得ており、進学・就職の傾向や意識を詳細に分析しています。
- 高校生が企業選びで重視しているポイントは何ですか?
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給与・手当や仕事内容、休日・休暇、職場の雰囲気などが特に重視されています。また、働きやすさや勤務時間、福利厚生といったライフスタイルとの相性も重要視される傾向にあります。
- COURSE EXPOはどのようなイベントですか?
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COURSE EXPOは、地元企業と高校生が直接交流できる体験型イベントです。企業ブースでの説明やミニ職場体験などを通じて、仕事への理解を深めることができます。
- 調査資料はどこからダウンロードできますか?
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記事末尾に設置されたリンクより、調査資料の全文をダウンロードしていただけます。興味のある方はぜひご確認ください。